9月29日13:00~16:00
仙台でアートによる復興支援活動をしているARCT(Arts Revival Connection Tohoku)からの要請で、学校や児童館などで、子どもたちを対象とするワークショップなどの活動を行うダンスや演劇の
アーティスト向けの研修会を行ってきました。ARCT出前部リーダーで、ダンサーの千田みかささんが企画して下さいました。
仙台では、この10月より、ARCTや仙台市等の共同の実行委員会による「仙台市震災復興のための芸術家派遣事業」(文化庁平成23年度次代を担う子どもの文化体験事業~東日本大震災復興支援対応~採択事業)がスタートしています。今回の研修会は、この事業で学校や児童館などに派遣されるアーティストを対象に行われました。
ワークショップなど子どもたちとの活動をするために、事前に主催者である学校や児童館などと何をどう打合せしたり、どんなことを確認しておいたほうがいいかや、現場でどんなことに気をつけたらいいか、震災のトラウマをどう考えたらいいのか、その他、子どもたちとの現場に関わるうえで、比較的基本的な事柄について話して欲しいというリクエストでした。
参加者は13名。お仕事の都合などで、どうしても都合のつかなかったメンバーには、記録ビデオを撮ってみてもらうことになっていました。
そんなに多い人数ではなかったので、まずは自己紹介を兼ねて、最近の子どもたちとの活動経験や、これからの現場や今関わっている現場で困っていること、不安に思うこと、特に知りたいと思うことなどをそれぞれに話していただきました。学校に入る場合や授業の枠内であることの制限や、活動環境の問題、学年をまたいだ時の対応、一度に大人数になってしまった時のこと、特別支援の児童のこと、震災の心理的影響など、さまざまなことが話題にのぼりました。
さらに、福島からの転校生が増えていて、夏休みあけにクラスの構成メンバーが大幅に変わった学校が増えていること、よその学校から転校してきた子どもたちはみな違う色の体操着を着ていて、そのちがいが可視化されているという状況、外での活動や学校の水道水を飲むことなどを、保護者が制限している子どもとそうでない子どもが同じクラスにいることなど、いろいろとリアルな現場の状況も聞かせていただきました。
その後、子どもたちとのワークショップ現場の、事前、現場、事後、という時系列に沿って話をしながら、その前に出た質問や相談にも答えていくようにしました。
それぞれに状況は違っても、自らも被災したアーティストたちが、自分たちの住む地域を自分たちで復興していこうとする強い意志と使命感や義務感と、自分たちもまだ回復の途中にある中での不安や戸惑いを抱えながら、前に進もうとしていると感じました。
同時に、ARCTの関係者と話していて、こうした活動は、今は“復興”という名のもとにスタートしているわけですが、いつか、この“復興”という二文字がとれて、代わりに、アートが子どもたちの生活や地域の人々の間に自然とあって人と人をつなぐ、そのような社会のモデルケースになるような、そんな少し先の未来への希望もそこに託されていることも感じました。これは、もはや東北だけの話ではなく、社会の中でのアートの役割を考えるうえで、とても普遍的な課題であり、アートを仕事とする私自身にとっても重要な事柄であると改めて確認することができました。支援する側、される側という関係ではなく、どう恊働していくことができるか、これからも考え続けたいし、ともに仕事ができるようにしていきたいと思いました。
ARCT活動ブログの報告→http://arct.jp/blog_action.html#/detail/4243100799018044084
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