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2012年3月27日火曜日

日本カウンセリング学会ボランティアチームとの石巻訪問報告-吉野さつき

AVN311のコーディネーターの吉野です。
1月に石巻に行ってきた報告です。諸事情で報告が遅くなり申し訳ございません。

日本カウンセリング学会のボランティアチームによる石巻の仮設住宅での、カウンセリングと足湯カフェの活動の際に、現場でダンサーと合流してなにかできないか、とのお声がけをいただき、状況を把握するために、二人のカウンセラーの方の活動に同行してきました。

場所は、追波川河川運動公園多目的広場応急仮設住宅です。
このチームは、他にもう一ヶ所近くにある仮設住宅にも、他のメンバーと交代で通っています。

また、カウンセラーのチームだけではなく、同じ日に、地元の訪問医療チームも入る形で、同じ集会所の一部屋で、医療相談チームと、カウンセラーチームがゆるやかに連携して活動しています。

朝10時少し前に両方のチームが到着して、まずカウンセラーチームは足湯カフェのチラシを各家のポストに配付します。医療チームは、気になる方のお宅に声がけをしに回ります。


10時を少し過ぎると、一人二人と住民の方々が集会所を訪れます。
この日は午前午後で8名ほどでした。
多くが60代ぐらいから70代ぐらいの女性、一人二人30代から40代くらいの方もいました。男性は一人だけ。
心の病もしくは障害を抱えている様子の方も二人ほどいました。もともとなのか震災が原因なのかはわかりません。

まずは医療チームの方々が、健康状態やお薬の相談などの話を聞いたりします。
医療チームの方によると、高血圧、生活不活発病(普段の生活の中で動かなくなってしまったので)に関係する症状が多いそうです。
それと、かなり増えつつあるのがアルコール依存で、主に男性が多いそうですが、表に見えてこないだけで女性も増えているだろうとのことでした。それと、不眠症。睡眠導入剤などのお薬に頼ることを我慢してしまいがちな方多いそうで、今回は薬剤部長の方が、「眠れない時は我慢しなくていいんですよ。必要ならこの場でお薬を出しますから。」とおっしゃっていました。


比較的年配の女性は、他の人たちとおしゃべりしたいという感じもあって、こうした場に出て来られるようですが、アルコール依存や心の病などを抱えている方、そうした心配のある方は、なかなか家から出てこないため、把握やケアが難しいようです。

カウンセリングもいきなりだと話を聞くことができないため、足湯カフェという形で、マッサージを受けたりお茶を飲んだりしながら自然と話ができるような場にしたそうです。



足湯カフェコーナーでは、小さなコーヒーミルや、香りのよいフレーバーティや茶菓子、コップもいろいろな可愛い色形の陶器のものを、カウンセラーの方が大きなスーツケースで持参して、マッサージの際にも気持ちを落ち着かせるアロマ系のクリームやオイルなどを使用されていて、少しでもほっとできる空間を作るようにいろいろ工夫されていました。





ほとんどの訪問者の方が、午前中に来て、お昼を食べに戻った後、午後にもまたやってきました。他の住民の方や看護士さん、カウンセラーの人たちと、お茶をのみながらおしゃべりをするためです。
話の合間に、看護士さんはさりげなく体調やお薬のことも聞き、カウンセラーの人たちはマッサージをしつつ合間に一緒にお茶を飲みながら話を聞きます。






75才になる女性は、震災前までは貝の加工などの仕事をしていたそうですが、現在は仕事がなく、「腕とかあっちこっちポチャポチャしてきちゃったよー。」と言い、マッサージされている手を指して「いっぱい働いた手だべ。」とも言っていました。本当はまだ働きたかったそうです。





医療チームのメンバーは、石巻と雄勝という町の病院からの合同で、どちらの病院も津波で被災しています。1月の時点ではまだ他の病院に仮の居場所を持って活動していました。メンバーのうち一人は他の仮設住宅に住んでいて、もう一人は他の場所に仮住まい、一人はその母親がこの仮設住宅に住んでいる、という状況でした。

医療チームはあちこちの仮設住宅を回っているそうですが、数が多すぎて、同じ住宅にはひと月に一回しか回ることができない、避難所から仮設に来た人については前もってケアが必要な人をある程度把握できていたが、家に戻ってしまった独居老人などについては全くケアができない状況にあるとのことでした。

お昼に、医療チームとカウンセラーチームだけになった時、そうした現状についての話を聞きました。話の途中、何度か、全員が大きなため息をつき、沈黙していました。



今回は、足湯カフェのお手伝いをしながらこうした状況を把握してきましたが、次回から継続して入れそうなダンサーの方も一緒に行って、足湯カフェの延長線上のような形で少し身体をほぐしたりすることが同じ集会所の中でゆるやかにできるといいのではないかと思いました。

また、何度か通って、キーパーソンになる方とのつながりを作り、もう少し年齢層の広い人たちが参加してくれるような活動を企画したり、カウンセラーや医療の方とも一緒にできる内容を組んでいけ
たらと思います。また、医療チームの方などケアする人のケア的なプログラムもできるようになるといいかと思いました。ただ、そのための信頼関係を築くのに少し時間が必要な気もしました。カウン
セラーの方にも言われましたが、「無理なく、ゆっくりやれる活動」を目指すのがよさそうです。

以上で報告を終わります。

吉野さつき

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2012年3月16日金曜日

福島県伊達市小学校でのボランティア公演とワークショップ-佐藤道代


2月20日、21日に行った、福島伊達市 石田小学校、大石小学校でのボランティア公演とワークショップは、踊っている私たちが元気づけられるような、大変楽しいものになりました。


<プログラム紹介>
1月13日の新浦安「愛・イサドラ・ダンカン・ダンス」で観客と一体になって作った命のエネルギー=愛を、福島に届けようと、イサドラ・ダンカン国際学校メンバー、佐藤道代、友希、島浩子で、ミニ・コンサートをしました。特に、福島の大地を想って創作した「大地の詩」では、途中から、子どもたちが踊りに参加!耕した大地に水をやり、伸びる種を元気いっぱい踊ってくれました。
後半のワークワークショップでは、「いのちの故郷、福島はここに今もあること、そしてそこに生きる自分自身を大切にしよう。」というメッセージを、ダンカン・ダンスの基本である、ユニバーサル・ムーブメントを踊る中で、皆で呼吸と共に感じました。後半は、福島伊達市にある霊山の風、山、祓川や石田川の清らかな水、きらめく太陽の光の力を表現してもらい、福島の大地から伸びる種=子どもたちを、元気いっぱい踊ってくれました。

元々、自然の万物を踊ることを通して、子ども達の中にある、いのちの総合的力、多元的な能力を育てたいと思ったイサドラ・ダンカン。自分のダンス学校を、「School of Life:いのちの学校」と呼んでいました。現在アメリカの教育界では、ハーバード大教育学博士のハワード・ガードナーが、MI理論(多元的知能理論)の中で、「言語的知能」「言語」「論理数学的知能」、「音楽的知能」「身体運動的知能」「空間的知能」「対人的知能」「内省的知能」「自然的知能」など、子どもの多元的な力を伸ばす教育をアートで行うことを提案していますが、この多元的知性の力、石田小、大石小の子供達は、大変高いと感じました。

自然の四大元素に溢れる福島の豊かな土地で育った子供達には、踊る時に余計な説明の必要はありませんでした。いつも見慣れている、山、川、太陽、そして風の事を思い出してもらうだけで良かったのです。この子どもたちの本来持っている、自然とつながる知性は、長年、子どもたちの内面に培われてきた力だと感じました。これは、原発事故があろうとなかろうと関係ありません。このように育っている福島の子供達の内面の命の力の強さに、福島の明るい未来を確信しました。

その力が原発事故で委縮してしまわないように、引き続き育ち続けるように、ダンスでお手伝いがしたいと強く思いました。

<校長先生のご感想>
「子どもたちのあんな笑顔を見る機会は今まで多くありませんでした。心と身体が解放されている時間をありがとうございます。」「この子供達が将来的に重荷を負ってしまったのは事実だが、これを機会に、世界に目を向けて、自立して生きていけるように、色々な人や職業に触れ、沢山の機会を与えたい。今度は、カリキュラムの中に組み込めるように、是非ご協力下さい。」という言葉を、石田小学校の村田校長先生から頂きました。

大石小学校の佐藤先生は、「うちの子たちは引っ込み思案かと思っていたのに、あんなに踊ってびっくりです。引き出して下さってありがとうございます。」「控え目で、表現する場が余り無かった子どもたちだが、これからは、復興に向けての子供達の意欲を外に向けて伝えられるような場を創りたいので、又協力して下さい。」との声を頂きました。


<福島の小学校の生活>
石田小学校では、「ひきな炒り」という大根とにんじんを甘辛く煮た、福島特有のおかずを含むおいしい給食も頂きました。内部被ばくを避けるために、材料は全て検査して調理していました。地元産の農産物も全て全戸数検査を始めていて、放射線量は市場に出る前にチェックしているので、福島産は安心だなと感じました。

校庭には、線量計があり、リアルタイムで文科省に報告しています。大石小学校は、最初から放射線量は低めで、現在も0.1程なので、校庭での活動も再開していました。
石田小学校は、校長室の裏側に線量計があり、校長先生が窓からいつも眺めてチェック出来ています。0.28で村田校長先生は、「今日は高いです。」とおっしゃっていました。それでも、野外活動は一日一時間に限り、スクールバスで送り迎えをするなど、年間の被ばく量が1ミリシーベルトを超えないように、大人がとても気をつけていました。このような「福島の子どもを守る」という姿勢と努力があるからこそ、子どもたちが、すくすくと育っているんだな、と感じました。

両学校とも、とても文化的な雰囲気で、給食室やステンドグラスのある校舎に、29名の子供達が学ぶ石田小学校では絵画や図工、短歌の作品が美しく並んでいました。霊山の山の麓に36名が学ぶ大石小学校では、天蚕という幻の蚕を飼育して子どもたちが創ったオブジェが可愛かったです。

葛西にある福島のアンテナショップで、職業体験として物産を売った時に、プレゼントしたら、飛ぶように物産が売れたとの事でした。

どちらも地域の方と共に子供達を育てて行こうという意欲に溢れていて、アメリカにあるチャータースクールや、日本の大都市にある地域参加型の私立校と同じような感覚でした。学校は「集いの場」なんだなと改めて思いました。イサドラ・ダンカン国際学校も、そのような共に育てる集いの場にしていきたいなと思いました。

1月13日の「愛・イサドラ・ダンカン・ダンス」で集まった義援金61,000円にイサドラ・ダンカン国際学校やフィオリータからの寄付金を足したお金を、それぞれの学校に寄付しましたら、「子供達のために使わせて頂きます。」とても喜んでくれました。又、子供達には一輪ずつバラをプレゼントし、皆、笑顔で受け取ってくれました。是非、又福島に行って、元気な子どもたちと踊りたいと思います。


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